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上部の肋骨は、肩甲骨の動きと密接に関係します。

よく肩甲骨剥がし、という言葉を最近聞きますが、肩甲骨の動きのバランスが良いと体幹上部の動きがよくなり呼吸は深くなります。


ただ、肩甲骨の動きが良いと言っても、よく動くことが良いとは限りません。

動きのバランスが良いということが大事です。

一般的には柔らかい関節が良いとされますが、柔らかい関節は支持する力が弱いという弱点があります。


可動域は大きくなくても前も後ろも均等に動くことが大事です。

一見すると肩甲骨が浮き上がっているように見えて動きが良いと感じる人もいますが、下方向には動きが悪かったり前に動きにくかったりすることがあります。

つまり動きが片寄っているということです。

肩甲骨と肋骨は一つの関節(スライドするような形の関節)である肩甲胸郭関節という関節になっています。

肩甲骨は鎖骨と靱帯でつながっていて、鎖骨の内側は胸骨とつながっています。


つまり肋骨の上をスライドするように動きつつ、前側にある胸骨にも鎖骨を通して影響しているということが言えます。

肩甲骨が均等に動けば肋骨も動くということです。

肋骨が動けば呼吸も深くなるということになります。


当然、肩や首の緊張にも大きく影響します。


そのためにも肩甲骨を動かすイメージというのがとても大切になってきます。

イメージなくして動きません。


気が動いて、水や血が流れるということです。




肋骨は本当に不思議な骨だなと思うことがあります。


左の腰痛と足の痺れを訴えて来院された方ですが、問題は右の第七肋骨に反応がありました。

第七肋骨のみ?


と思われるかもわかりませんが、第七肋骨のみで、第六肋骨には問題はありません。

隣り合う肋骨ですが、異常な肋骨とそうでない肋骨が、すぐとなりにあるのは不思議な感じです。


しかも、左の腰の痛みであるにもかかわらず、右の肋骨の問題というのは不思議な感じがしますが、右肋骨の中には、肺の下部、横隔膜、肝臓があります。当然、これらの機能にも影響を与えるはずです。

肝臓は筋肉のエネルギー源であるブドウ糖を貯蔵したり、タンパク質を合成したり、アンモニアを解毒したりしています。

肺も筋肉がないと呼吸が成立しません。そのもっとも中心的な存在の筋肉が横隔膜です。

よく考えると右の肋骨は、筋肉と関係のあるこれらの臓器のある場所なのかなとこじつけられます。


異常反応があると筋力が脱力し、急激な力に耐えられず、支持を失います。

つまり、体幹に軸がなくなり、グニャグニャするということです。


左側は患側なのにしっかりしています。

異常な筋肉は、ゆっくりだと硬くなり、急激な力だと支持を失います。

これもとても面白い法則です。

しかし、このバランスがとれると、右も左もしっかりしてきます。


当然、体幹がしっかりすると、腰痛も楽になります。

肋骨は、下に斜めに下がって走行していますが、これは体幹の捻れを吸収する為ではないかと考えています。

呼吸をした時、吸気では横隔膜が下がります。

その為、肋骨の下部は横に広がるように膨れます。

更に呼吸が入ることで胸の上部が動きます。


逆に上部の肋骨は最初は縮む傾向にあり、最大吸気になって、最後膨らみます。

その時に、腹部の筋肉の作用を使うので、肋骨に何らかの異常が起こると、腹部の筋肉を使えず、胸部を膨らますことができません。

その為に、最大吸気にならず胸部に呼吸を入れられなくなります。

腰を猫腰のように丸めると、最大吸気ができなくなります。

腰をたてないと肋骨の下部も上部も使える呼吸にはならないということです。


このような状態になると、呼吸が落ち、肩が前に落ち込み猫背になります。

その影響から腰椎は伸展気味になり、腰にも負担がかかるのではないかと思います。

その時に上肢にも影響があるので、肘や肩にも異常を起こします。


腰痛の場合、上半身に問題が出やすくなるのは、このためだろうと予測しています。特に上腕二頭筋内側部は緊張が強くなり、大胸筋や、肩甲骨を内転させる筋肉である大菱形筋や僧帽筋にも影響があります。

これが胸椎下部でねじれを起こし対側の腰の痛みになってでた例でした。


あらゆるところと関係があるのだと思います。


この前にあった例ですが、手が痺れるような重みがあり違和感があると言っていた方の反応をみてみました。

手を触診しても手には何の問題もありません。関節の腫れもなく肘肩も正常に近いです。

ところが首から上の問題があることに気づきました。


首から上を探っていくと鼻のあたりで異常な反応があり、最初は上顎骨で副鼻腔(上顎洞)の問題でリンパ管系から手にでている重みなのかなと思ったのですが、どうも鼻根部に近いところで目の内側に問題があるみたいでした。

そしてリンパ系というより血管系が強くでていたみたいです。

予測とは大きな違いがあったので、注目してみました。


よく調べてみると、篩骨の患側から蝶形骨の小翼の前縁にも反応がありました。

当然、こめかみ部(大翼)でも異常を触れるし、前頭骨の中心部を上から触れても患側だけ異常があります。


つまり、ここに異常があり、それが手と関係していたということだろうと思います。

また、鼻と目の間(鼻根部あたり)に指先を軽く触れてもらいながら手の感じをみてもらうと痺れ感が楽だと言います。

触れるだけで刺激になりますので、その刺激で手の感覚まで変化したということです。

そして手の動きも良いみたいです。


このような症状を訴える人は時々いますが、手に問題があるのか、それ以外に問題があるのかによっても症状が同じでも同じではないということがよくわかります。

鼻に近いところなので、経絡では肺経が関係するのかと思えば肝経が問題でした。

???

と思うと思いますが、肝経でも血と関係します。しかも患側のお腹から胸、胸から首へと神経に作用しながら脳まであがっていくような感じです。

肝経は目と関係するとも言われていますし、神経にも影響することがあるので、そこから来ている症状なのかなとも思います。


一見すると無関係にも思える反応ですが、篩骨と明確につながっていました。

篩骨から蝶形骨に影響し、それが下垂体、視床下部、視床の経路で感覚異常が起こったと考えると、この症状も納得できます。


鼻の調整をすると腰の痛みが楽になったり、首の痛みが楽になったりするのも視床や視床下部、基底核などへの影響があるからではないかと考えると面白いと思います。


骨はすべての基準になります。

この基準に何らかの異常(力が加わるのか何かはわかりません)が起こると、隣接する器官の機能が落ちて症状がでてくるのだと思います。

それに経絡も気水血も寒熱も全てが絡み合っていると考えると一つの症状に対して様々な問題を考えられるということです。





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