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出産して左手首を痛める人が時々います。

新生児を抱く時に左手で抱く人が多いからかもわかりません。

こういう時に考えてしまうのが使ったから痛いということです。


しかし、この症状は使い痛みだけではありません。

手首に腫れはあるので手首の問題はありますが、手首の問題はわずかです。

つまり手首だけを色々刺激しても良くならないということです。


手首の腫れをおいかけていくと、肘にも肩にもつながった問題があります。

それだけではなく、首や胸にもつながっていて、最終的には、顔面部から鼻にも影響しています。

鼻と目の奥には、下垂体という器官があり、6種類のホルモンを分泌していると言われています。


甲状腺刺激ホルモン(TSH):甲状腺の働きを調節する。

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH):副腎皮質の働きを調節する。

卵胞刺激ホルモン(FSH):女性では卵胞の発育を促進し、男性では精巣の働きを調節する。

黄体形成ホルモン(LH):女性では排卵を促進し、黄体の発育を促進する。

成長ホルモン(GH):骨や筋肉の成長を促進する。

プロラクチン(PRL):母乳の分泌を促進する。


プロラクチンやオキシトシンは、母乳の分泌や子宮の収縮に関係し、プロラクチンは、母親の脳内のオキシトシン分泌を促進する作用があります。オキシトシンは、愛情や親密感、信頼感などの感情を促進する作用があるとも言われています。


また、プロラクチンは、母親の脳内のドーパミンの分泌を抑制する作用があります。ドーパミンは、集中力や意欲などの働きに関与しているホルモンですが、過剰に分泌されると、母親の育児ストレスを高める可能性もあります。

身体の反応を追いかけていくと、単純に手首の痛みではなく、下垂体から出るホルモンの作用にも影響があるのではないかと思います。

だから、育児ストレスになることがあり、手首が痛いから育児ができないのではなく、育児ストレスになるから手首の痛みが出るということが考えられます。


どちらが先か?

それによってもアプローチが変わってきます。


単なる手首の症状も単純ではありません。やっぱり人間の身体は多対多であり、非線形です。

相互関係によってなりたっているということです。

それを実際に感覚で捉えられるようにすることが鍼灸治療の面白みです。






身体中痛いと訴える人は時々います。

しかし、よく話を聞いてみると全身ということではありません。


右手も左手も足も身体も痛いというのですが、主に左手の痛みがあると訴えています。

その左手は本当の痛みか?

という疑問を持たなければなりません。

触ってみると、痛いという手の指先は問題ではなく、手首から前腕の方が問題でした。

そして肩と胸も左側の異常だとわかります。

触診では手首の腫れと肩が繋がって異常を起こしていることがわかります。


この胸の反応は少陽の反応があり、咽や目の奥にも影響し、左の上腕部までつながっているということです。

左手首は痛みはないと言うのですが、あきらかに裏症の熱があり深いところを熱感があることがわかります。

面白いことに手の平も手首の熱感があるからか赤くなっています。

見た目に赤い感じは私も確認できました。


実は、この熱は、咽頭部から来ている手の平の赤みだとわかります。それは少陽の熱だともわかります。

きっと少陽系の漢方薬を処方すれば、楽になってくるのではないかと言う予測もできます。

確認の為に触れてみると軽く手首を触れるだけで痛がります。上腕も胸も同様です。

痛みを感じるところと圧痛のあるところは全く違うということがよくわかります。


確かに痛いところは多いのですが、手全体を触ると強くなったり弱くなったりしています。

特徴は、強くなったり弱くなったりする間隔が狭いということです。

あちこち痛いという人の特徴です。

表裏や経絡の蛇行、経絡の太さなどを観察しても、その間隔がかなり狭いのが特徴です。


バランスという観点からいくと、右側は同じところには反応はありません。

しかし、手の指先は右手の反応の方が強いのです。

本人は右手の指は酷くないと言っています。


こちらが異常を見つけ、それを元にして問診していくと、問題点がよく見えてきます。

基本的に異常反応がないところは痛みがあっても、痛みのある場所は問題ではありません。

問題ではなくても症状があるのは、他からの影響があるからです。

他からの影響によって起こった痛みと、局所のみの痛みとは本質的に全く違います。


異常部は相互につながっています。

左手が痛いと言っても左だけの問題ではありません。

症状は相対的です。

原因と結果には相互関係があるのに、一対一や一対多の関係のみだと解釈するから大きな間違いになるのです。

例えば、腰痛で椎間板狭窄症があれば、それだけが原因だと考えることです。

臨床は、基本的には多対多です。

複数の要素が絡み合っています。


あちこち痛いという症状の人を明確にしていこうと思うと部分をしっかり観察できなければわかりません。

部分と部分をつなぐ関係を見つけ出すことが必要になってきます。

なぜ、一対一の関係だけが正しいと考えるのか疑問です。

もちろん、一対一の関係の反応がない訳ではありませんが、極端に少ない。


一対一の関係の反応を見つけるには、もっともっと全体を俯瞰して見なければなりません。



経絡は、全身を巡ると書いてあります。

しかし、経絡は目に見えないので、わかる人はいても証明することはできません。

唯一、感覚として伝えることができるぐらいだと思いますが個人的にしか伝わりません。


他の人に見せたり、数字になってあらわれたりできないので存在そのものを証明することができません。

だからあるとは言い切れません。

しかし、ないとも言いない。

あると仮定して、反応を見ていくと、あきらかに違うのはわかります。


更に見ていくと昨日の話のように表裏がある。

同じ肺経でも裏証の肺経と表証の肺経がある。

しかし、それは部分的にしかあらわれてきません。

そして、右と左はあきらかに違うし、左の肺経が肘の部分で強いと右の肘の部分は弱い。

それでも手首は右の方が強いというように左右であきらかな違いがでてきます。


また陰経と陽経は対角線上に異常が起こることが多いというのも特徴です。

肘のあたりの肺経が強いと、その対角線上にある小腸経も肘に異常が出ることが多い。

もちろん、ない場合もあります。

そんなことから考えても、経絡は波打っているように思えてなりません。


太くなったり細くなったりする時も、太い、細いが交互にあらわれることが殆どです。

肘のところで太くなった経絡は肩関節のあたりで細くなるし、肘のあたりで深くなっていると肩のあたりで浅くなっていることが殆どです。

蛇行しているというのも上流で右へ行くと必ず下流では左へ蛇行します。


このことから考えても、経絡は直線ではなく深浅でも蛇行しているというのがよくわかります。

経絡図を見ると直線で書かれているので、直感的には直線なんだろうと思われがちです。確かに部分的にはそういうところもありますが完全な図の通りの経絡は見たことがありません。


特に異常のある部位の経絡は必ず蛇行するか、深浅があるか太さが違うかのどれかになっています。

何もないというのはありません。

そう思うと経絡は立体的だとわかります。

それなのに何々の穴はここ!!

なんていう言い方をするのは疑問しか起こりません。


圧痛の出やすい場所というのは確かにありますが、全ての穴を押さえてみればすぐにわかりますが、全く圧痛のない穴も沢山あります。圧痛で調べるという人は、圧痛のない経絡や穴をどう証明するのか?

東洋医学をやっていると疑問しか起こらないというぐらい疑問だらけです。


なんでもそうですが、常識を疑ってみるということが自分自身を進歩させる第一歩なのではないかと思います。

額面通りにしか考えられないなんて異常だとしか思えません。

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