- Shyuichi Nakamura

- Jul 26, 2024
今年最後の東京セミナーの紹介です。
治療において何を目標にするのか?
という疑問は、単純なようでいて最も難しい問題です。多くの人は問診で得られる症状を目標に設定しているはずです。しかし、臨床をおこなっていると、大人でも自分の症状を明確に説明できない人が多いことに気づきます。子供や高齢者、聴覚障害のある方であればなおさらです。自分自身のことは分かっているようで分からないものですから仕方がありません。
このことから問診は思っているほど正確ではないし、術者の知識に委ねられ、捻じ曲げてしまうこともあると感じます。
問診はあくまで参考程度にとどめ、治療家自身が独自の視点を持つことが重要です。
問診に頼らず、客観的な情報に基づいて診断する必要がありますが、鍼灸で言う客観的な情報とは感覚を排除しない情報です。脉診や腹診だけでなく、動きを理解していなければ総合的な判断はできません。
「気」はエネルギーの流れです。絶えず仕事をしているエネルギーですから変化していきます。
このエネルギーの流れを感覚を通して得られる情報を扱うにはコツが必要です。
そのコツを今回も伝えていこうと思います。
目標設定の難しさ
問診は患者自身の主観的な情報であり、必ずしも正確ではない。
患者は自身の状態を客観的に評価できていないことが多い。
治療家は問診に頼らず、客観的な情報に基づいて診断する必要がある。
鍼灸における客観的な情報は、脈診や腹診など、感覚を通して得られる情報も含まれる。
感覚を通して得られる情報にはコツが必要である。
鍼灸における客観的評価
脈診や腹診は習得が難しいと感じるのは、術者の視点によって結果が変わるからである。
経絡やツボは目に見えないため、その存在を証明することはできない。
評価は個人差があり、同じ結果にはならない。
脈診等の結果は確率的で、総合的な判断が必要。
特に身体の動きの法則について知っている必要がある
磁石を使って経絡やツボの流れを把握する
物理的な現象から経絡・ツボへ
身体に現れている物理的な現象を捉える訓練から始める。
関節の位置や状態を方向性のある磁石で磁場を作って観察することが、経絡やツボの理解に繋がる。
関節の動きは、静から動に変化する瞬間であり、「気」の解明に不可欠。
CM関節
手の親指のCM関節は、全身と密接に繋がっているため、CM関節の動きの評価は、全身の評価にも繋がる。
CM関節症の患者は、CM関節が屈曲内転位になっている。
物質的な視点とエネルギーの視点
人間は常に変化するエネルギーの塊である。
物質的な視点だけでは、正しい診断はできない。
重力や外因の反応など、様々な要素を考慮する必要がある。
正しく意識し、刺激すれば身体は一瞬で全身に影響し変化します。
痛いところは原因ではありません。相互作用によって起こった結果です。
結果にのみアプローチすると全体で不都合が生じます。
今回は、中野ひとみ先生が「音とからだ~世界は音でできている~」という興味深い内容で前半講習をしてくれます。
ご期待ください。
【参加費】
2万円
【日時・会場】
2024年9月8日(日)午後12:30〜午後4:30(4H)
ふれあい貸し会議室 品川ステーションビル
東京都港区高輪4-23-5
(今回の開催場所は品川ですが、前回の場所とは違いますのでおまちがえのないようお願いします)
【お問い合わせ先】
御薗治療院
電話番号: 0596-22-7481
メールアドレス: misonouketuke@gmail.com
多くの方々のご参加をお待ちしております。何かご質問や疑問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
- Shyuichi Nakamura

- Jul 25, 2024
一定の方向に崩れる身体
疲れた時には肩を落としながら胸を縮めるのが普通です。椅子に座った時に足を広げて腰を後方にした方が楽だと感じるのも同様です。これは、体力が低下すると特定の方向に変位することを示しています。つまり、疲れの方向性は一方通行になるということです。逆に言えば、その反対方向に身体を調整することで、元気を取り戻せると言うことです。
治本法
一定方向に崩れるというのは、鍼灸における治本法の考え方と同じです。木火土金水の方向に基本的に悪くなる。
治本法は、そんな法則に則っているので簡単な方法であり、局所治療は、とても複雑です。局所は、治本の基本原則を崩さないで、異常部分に影響を与える方法だからこそ、その仕組みは難しく全体との整合性がとりにくいのです。
痛いところを刺激するのが局所法だと勘違いしている人は多いですが大きな勘違いであり、逆に全体には悪影響になっていることが殆どです。
治本法のことをわかっていないと局所法は成立しないので、治本法を最初に理解する必要があるということです。身体の各部位にはそれぞれ力の配分があり、最も強い異常が、どこに生じているかを観察する能力が必要です。
股関節、腰、腕、手首、指先など、一つの症状は、様々な部位が原因となりえます。異常部位は症状とは無関係に起こり、それを取捨選択することが必要です。症状しかみていない術者や頭でしか考えていない術者では、これを見つけることができません。つまり症状を基準にしてはいけないということです。
力の配分を基準として、どの部位が全体に強く影響を与えているのかを感覚(触診等)でわかってこそ役立つ情報です。知識と感覚は、こういう融合の仕方をします。
- Shyuichi Nakamura

- Jul 25, 2024
「右手を上げて、左手を上げて…」と指示すると、人は簡単に手を上げてくれます。しかし、その動きは本当にスムーズで自然でしょうか?
多くの人は、このことについて疑問に思わないかもしれませんが、興味深い実験があります。実際に手を動かさずに、ただ手を上げる意識だけをするのです。頭の中でイメージするだけです。
すると、右手と左手を上げようとした時に、意識のしやすさに差を感じます。不思議に思うかもしれませんが、確かに差がでます。これは、「気」が肩、肘、手先まで滞りなく流れていないことを示しています。意識しやすい側は実際に動かしやすく、「気」が流れている状態です。逆に意識しにくい側は動かしにくいのです。
つまり、これが「気」の流れが滞っている状態です。
東洋医学では、「気が流れれば水も流れ、血も流れる」と言います。言い換えれば、「気」が滞ると「水」や「血」の流れも悪くなるということです。
「水」や「血」が流れるとは実際の運動が起こるということです。思いがなければ、筋肉は収縮せず動きません。
この意識の実験は、まさに「気」の流れを反映していると考えられます。「動かさない運動」をすることで、この「気」の流れを直接的に感じることができるのです。
(注意 動かさない運動という言葉も発想も私のオリジナルです)
動かさない運動は気を理解するために絶対に必要な動きです。意識のみ動かす運動です。
この感覚を利用して、小さく、綺麗に、ゆっくりと体を動かしてみると、初動の動きを観察することができます。「気」が流れている場所と滞っている場所の違いが明確になります。
これが「気」を理解する第一歩であり、重要なコツなのです。





















