磁石を使って関節を観察してみる
力の配分の異常な関節に対して磁石をあてて見ると一定の方向性があることに気づきます。CM関節が屈曲内転で固定している場合、関節の方向性という条件設定を術者が明確に持って、磁石を図のように置きます。
ここで重要なことは概念であり、磁石にはN極からS極に流れる方向性があるということを術者が明確に意識づけているということです。目には見えませんが、あきらかに物質にも作用している「何か」が存在します。それを使って身体の動きを観察してみます。
磁石を関節に置く
磁力は、そこに「場」を作り出します。その「場」の中でエネルギーの変化が起こるので、その変化を捉えれば、エネルギーの流れを確認することができるようになります。
図のように磁石を置くとCM関節の外転伸展がやりやすくなるのを確認できます。
逆向きに置くと制限されるのがわかります。磁石を置いていない時より制限が強いので何らかの働きがあるとわかります。
この現象から、異常関節に、磁石(方向性がある物)を置くと、その方向性(NとS)によって関節の動きの質が変化するということが観察されました。ここで言う「動きの質」とは、可動域の広さではなく、小さくゆっくり綺麗に動かした際の滑らかさや動かしやすさといった感覚的な変化を指します。
このような現象は、各関節で見られます。ただ、複雑になっている(複数の要素が相互作用を起こしている)関節の場合はわかりにくいこともあります。また、術者の意識が不安定になっていると捉えきれないこともあります。これが一番大きい問題です。
これを関節の可動状態と呼んでいます。また、この部位は、ツボで言えば大陵穴であり心包経です。大陵穴から肺経の魚際あたりに同じ方向で磁石を置いてみると可動状態は制限されます。
毎日暑い日が続きますが、頭に熱がこもらなければ、多少の暑さにも耐えられます。熱中症は、身体全体の体温上昇というよりも、頭に熱がこもることで、意識障害や眩暈などを引き起こすことを考えると、身体を冷やすよりも頭を効率的に冷やす方が効果的かもしれません。
よく、脇の下や鼠径部など、動脈が皮膚に近い部分を冷やすと良いと言われますが、確かに身体は冷えますが、この部位だけ冷すと頭部に熱がこもりやすくなる可能性もあります。
そこで、保冷剤を使って頭を直接冷やす方法を試してみてはいかがでしょうか。この方法は、寝苦しい夜に寝付きを良くし、睡眠を深くする効果も期待できます。
私の経験では、頭頂部を冷やすと全身が冷える傾向があります。特に、喉仏の少し横を通る総頸動脈は、脳の前方への血液供給を担っているため、この部分を冷やすと頭の前側が効率的に冷えるように感じます。ここが冷えると思考もハッキリしやすくなります。
また、総頸動脈は顔面にも影響するため、歯痛の際にこの部分を冷やすと痛みが和らいだ経験もあります。
一方、後頭部の下側を通る椎骨動脈は、脳幹部を通って後頭部への血液供給を担っています。この部分に熱がこもると、呼吸困難や嘔吐などの意識障害を引き起こす可能性も考えられます。
前頚部を冷やすのは頭の前側を冷やすのに効果的ですが、後頚部を冷やすと、かえって身体が冷えすぎてしまうことがあります。どうもここで頭部と身体への経路がわかれているような感じがします。なぜそうなるのかはわかりませんが事実です。
首を冷やす商品はたくさんありますが、頭に熱がこもりやすくなる可能性もあるため注意が必要です。
もちろん、炎天下では状況が異なりますが、重要なのは頭に熱をこもらせないことです。そのため、冷やす場所を適切に選ぶことが重要です。
前頸部を冷やしても問題ないのに、後頸部を冷やすと違和感があるのは、何度も実験を重ねた結果、事実だと考えています。
冷やす場所を適切に選んで頭が涼しい状態になれば、熱中症になる確率も減るのではないかと個人的には思っています。
頭を効率よく冷やすには、個人差があります。
色々と自分で試してみて、気持ちのよい場所を選んでもらうと更に効果的です。
今年最後の東京セミナーの紹介です。
治療において何を目標にするのか?
という疑問は、単純なようでいて最も難しい問題です。多くの人は問診で得られる症状を目標に設定しているはずです。しかし、臨床をおこなっていると、大人でも自分の症状を明確に説明できない人が多いことに気づきます。子供や高齢者、聴覚障害のある方であればなおさらです。自分自身のことは分かっているようで分からないものですから仕方がありません。
このことから問診は思っているほど正確ではないし、術者の知識に委ねられ、捻じ曲げてしまうこともあると感じます。
問診はあくまで参考程度にとどめ、治療家自身が独自の視点を持つことが重要です。
問診に頼らず、客観的な情報に基づいて診断する必要がありますが、鍼灸で言う客観的な情報とは感覚を排除しない情報です。脉診や腹診だけでなく、動きを理解していなければ総合的な判断はできません。
「気」はエネルギーの流れです。絶えず仕事をしているエネルギーですから変化していきます。
このエネルギーの流れを感覚を通して得られる情報を扱うにはコツが必要です。
そのコツを今回も伝えていこうと思います。
目標設定の難しさ
問診は患者自身の主観的な情報であり、必ずしも正確ではない。
患者は自身の状態を客観的に評価できていないことが多い。
治療家は問診に頼らず、客観的な情報に基づいて診断する必要がある。
鍼灸における客観的な情報は、脈診や腹診など、感覚を通して得られる情報も含まれる。
感覚を通して得られる情報にはコツが必要である。
鍼灸における客観的評価
脈診や腹診は習得が難しいと感じるのは、術者の視点によって結果が変わるからである。
経絡やツボは目に見えないため、その存在を証明することはできない。
評価は個人差があり、同じ結果にはならない。
脈診等の結果は確率的で、総合的な判断が必要。
特に身体の動きの法則について知っている必要がある
磁石を使って経絡やツボの流れを把握する
物理的な現象から経絡・ツボへ
身体に現れている物理的な現象を捉える訓練から始める。
関節の位置や状態を方向性のある磁石で磁場を作って観察することが、経絡やツボの理解に繋がる。
関節の動きは、静から動に変化する瞬間であり、「気」の解明に不可欠。
CM関節
手の親指のCM関節は、全身と密接に繋がっているため、CM関節の動きの評価は、全身の評価にも繋がる。
CM関節症の患者は、CM関節が屈曲内転位になっている。
物質的な視点とエネルギーの視点
人間は常に変化するエネルギーの塊である。
物質的な視点だけでは、正しい診断はできない。
重力や外因の反応など、様々な要素を考慮する必要がある。
正しく意識し、刺激すれば身体は一瞬で全身に影響し変化します。
痛いところは原因ではありません。相互作用によって起こった結果です。
結果にのみアプローチすると全体で不都合が生じます。
今回は、中野ひとみ先生が「音とからだ~世界は音でできている~」という興味深い内容で前半講習をしてくれます。
ご期待ください。
【参加費】
2万円
【日時・会場】
2024年9月8日(日)午後12:30〜午後4:30(4H)
ふれあい貸し会議室 品川ステーションビル
東京都港区高輪4-23-5
(今回の開催場所は品川ですが、前回の場所とは違いますのでおまちがえのないようお願いします)
【お問い合わせ先】
御薗治療院
電話番号: 0596-22-7481
メールアドレス: misonouketuke@gmail.com
多くの方々のご参加をお待ちしております。何かご質問や疑問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。