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左手首の痛みと推動作用

左手首の痛みが1週間続き、今日が一番痛みがあるという方が来院されました。左手首を観察してみても腫れは酷くなく、他の原因であることは最初から予測できました。

まず一番問題になっているのは、陽明の風邪反応です。胃の右側と食道の後側、口腔へとつながっているのを確認できました。典型的な陽明病の起こりやすい部位だと思います。



夏の暑気あたりのような反応です。陽明の触診を行うと、左横隔膜から側腹部、胸部、前頚部、顔面部とつながっています。胃、食道、口腔のある場所です。左鎖骨内側や、胸骨部、顔面部を触診すると圧痛があり、鎖骨は特に圧痛が強くなっています。

手首を触っても強い圧痛はないのに、鎖骨内側部は軽く触れる程度で圧痛が強いということからも手首の異常より陽明の異常の方が強いと確認できます。それに合わせて、左胸骨から上腹部を通って、大腿前内側から下腿前内側まで推動作用が弱っていると判断できました。

つまり推動作用が同じような場所にも存在しているということにもなります。推動作用の弱りですから当然ですが、胸椎上部は左回旋できにくい状態になっています。ただ、下肢まで影響があるので、その範囲は大きくなっています。

そこで防風通聖散を身体に近づけると、それだけで陽明の反応は減弱します。防風通聖散は、陽明の承気湯類に属する漢方薬で、水分代謝を発散させ正常化してくれる発散薬です。滑石や桔梗が含まれているので利水効果は強いと思われる漢方薬です。

書き忘れましたが、水滞の反応は横隔膜と胸部を中心に存在していましたので、これも陽明と推動作用とリンクしています。

それだけでも手首の痛みが軽快し、動きが良くなっていきました。


本人は陽明の風邪っぽい反応から手首の痛みが来ているとは全く気づいていません。だから風邪っぽい症状も自覚していません。こういうことから考えても症状だけでは、本当の異常をつかめないと理解できます。



症状にとらわれないで身体をしっかり観察しないと、問題を解決することはできないという典型的な例です。そして、それに陽明や推動作用、水滞が関係していたという例です。頭で物事を考えようとする人は、手首の痛み=陽明の風邪という例があるのか~と考えてしまいますが、そういう覚え方をしたら臨床では、うまくいきません。

風邪から、たまたま手首の痛みになったのだと理解しなくてはなりません。


この違いがわかるかわからないかは、大きな違いがあるということです。


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