少陽病の例
少陽の反応が筋肉に入っているのを観察しました。外腹斜筋、腹直筋、腹横筋、大腰筋、小腰筋、多裂筋にも反応がありました。リンパ管系にも入っていました。腹部を中心に「水」と「熱」の反応もありますが、少陽の部位と同じではありません。
つまり、少陽と「水」「熱」は重複してお腹の周囲に存在しますが、同じ場所にはないということです。
あえてどんな病名の方なのかは伏せますが精神性の疾患とだけ書いておきます。
お腹に反応があるので、食欲にも影響すると思います。薬のせいかもわかりませんが、多裂筋にも入っていることから腰や背中にも影響している予測できます。
一般的には六経による診断と西洋医学の解剖学的なものとは一致しないとされますが、どのあたりに影響しているかは推測することはできます。当たっている当たっていないは別として刺激してみて、それに変化があるかどうかを観察し、その結果で類推できる症状が残るか消えるかという判断をしていきます。
また、身体の動きや圧痛を観察することで症状だけでなく総合的に判断することができます。刺激を行って、それらがなくなっていれば、正しいと判断できます。
症状はなくなっても、違和感が残る場合があります。それは狙いどころが間違っていたということになります。
刺激をして一瞬で変化がありますから、変化がないということは、その判断が間違っていたと言うことです。もちろん間違っていることもあります。
間違っていれば、最初から見直して刺激を変えれば良いだけです。
観察→刺激→変化を観察
そうすることで、既知でないものを見つけ、未知のものを探し出すことができます。筋肉の反応は、左足までつながっていたのですが、「足にもでている感じです」と言うと、「そうなんです歩行時に違和感を感じます」という答えが返ってきました。
このように観察していると、お腹の筋肉系と足がつながっているのがよくわかりました。しかも少陽という病位でつながっていると言うことです。しかし、それは湯液や鍼灸の概念とは違うので、それぞれの専門家に言ってもわかってはもらえません。
足だけではなく、前頚部や左顔面部にもでていて、「水」、「熱」とも関係しているのがわかります。臓腑としては肺とも関係があり、鼻あたりの「熱」が強い感じです。
ただ、この方は、胸の少陽の反応は少なくお腹にある筋肉系が主体だったので、一般的なものとは違うと判断できます。
これも実際の異常は、教科書通りにはいかないし、自分の経験でも判断できません。経験を積んだらわかるというものではありません。強いて言うなら、真っさらな状態に如何になり続けることができるかどうかです。
そうなる為には経験は必要かもわかりません。しかし、若い未経験者でも、条件が揃えば出来ることです。
お腹にあるから胃腸だと言う訳ではなく、筋肉系の異常があるということは体幹の動きとも関係しているということになります。それでも症状は吐き気もあり、気持ち悪いという症状もあります。問診で、その症状だけを聞くと胃腸系だと思いこんでしまうと思います。それでは正しい判断ができないのだと思います。問診は必要ですが、問診だけでは絶対にわからない症状だということです。
症状はどうでも良いことだと私はいつも思っています。
少陽系の漢方薬として二陳湯を身体にあてても変化は乏しいのですが、半夏瀉心湯を追加すると全体的に薄くなった感じになりました。その後に追加として、当帰飲子、小建中湯を追加すると、前頚部の緊張もなくなり、背中の動きも良くなり、呼吸も深くなったと本人も言っています。当然、動きも圧痛も変化がありましたし、漢方薬を身体から離すと一瞬のうちに元に戻ります。胃腸系の症状を緩和するような方剤と皮膚炎の方剤も混じり合っているところが意味深です。
刺激をすると、刺激があっていたら一瞬で変化します。長々と治療する必要はありません。
11月頃から調子が悪くなり12月には調子が戻ってきて、今は元にもどってきています。出来ることがかなり増えてきたみたいです。一つ一つの積み上げが身体を変えていくのだと思います。
得たいのしれない症状というのは、竹を割ったようにはいきません。曖昧なまま良くなっていくのです。
焦れば焦る程、症状は追いかけてきます。そのことをしっかり理解してもらうことも大事です。
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