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肩の違和感と母指

手の母指は肩関節の異常とよく関係します。

特に肩甲骨の動きとも関係するのは面白いなと思います。


東洋医学の考え方からすると、手の母指は肺経と言って肺の経絡と関係すると言われていますが、この場合は、肺経ではなく、その対角線上にある背中側に影響を与えることがあります。

肺経は主に上肢の前外側を通って胸の方にいきますが、この例の場合、肩甲骨の中央あたりから肩上部にかけて影響していました。


これもケースバイケースですが、左の肩の動きが悪いのはいつもで、今日は右も違和感があると言っていた方の例です。

そこで、右手母指の末節骨と舟状骨を軽く触れてあげると一気に肩が動くようになりました。

刺激と言っても数秒触れる程度の刺激です。

肩が動かないという程の問題ではないのですが、それでも刺激前と後では可動域が全く違っていました。

だからと言って、肩の動きが悪い人に、母指先を刺激しても絶対によくなりません。


なぜなら、その刺激をする前の布石があるからです。

一つの症状は常に複数の要因があります。一つの異常は一つの要因から成り立っている訳ではありません。

まずは、左肩の常にある問題が大きなネックになっていました。

気水血の反応では、水滯の問題が胸から咽、左肩の前、上腕の前外側、顔面部の左側にありました。


水の滞りが胸から顔面部、肩、上肢にあるということです。

この問題を解決しなければ右肩の問題は解決しません。

また、この水滯は、上腹部まで影響している為、胃とも関係している感じです。


ストレスの多い職場なので七情は「思い」とも関係しています。

思いは胸を中心にメンタル階層に入っています。肉体ではないところに注目すべきです。

つまりこれらの問題を解決しておかないと右肩の調整をいくらやっても効果はない訳です。


しかもこの水滯の反応は、全身と関係するので、水滯だけを狙っても駄目なのです。

全身の中の一部という形で調整する必要があるので、それだけでも複雑な症状です。


しかし、これらの問題を解決すると何もしていなくても胸が開き、背筋がたって、呼吸が深くなってきます。

ストレスは、ストレスを避けなければ治らないと思っている人は多いですが、ストレスを避けても、また違うストレスがかかることがあります。

身体そのものを少しでもストレスに耐えられるようにしていかないと問題は解決しないのです。


この順番で調整すると、左右の肩は楽になり、動きもよくなったみたいです。

本当に身体って面白いなと思います。



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