手も足も身体中痛い
身体中痛いと訴える人は時々います。
しかし、よく話を聞いてみると全身ということではありません。
右手も左手も足も身体も痛いというのですが、主に左手の痛みがあると訴えています。
その左手は本当の痛みか?
という疑問を持たなければなりません。
触ってみると、痛いという手の指先は問題ではなく、手首から前腕の方が問題でした。
そして肩と胸も左側の異常だとわかります。
触診では手首の腫れと肩が繋がって異常を起こしていることがわかります。
この胸の反応は少陽の反応があり、咽や目の奥にも影響し、左の上腕部までつながっているということです。
左手首は痛みはないと言うのですが、あきらかに裏症の熱があり深いところを熱感があることがわかります。
面白いことに手の平も手首の熱感があるからか赤くなっています。
見た目に赤い感じは私も確認できました。
実は、この熱は、咽頭部から来ている手の平の赤みだとわかります。それは少陽の熱だともわかります。
きっと少陽系の漢方薬を処方すれば、楽になってくるのではないかと言う予測もできます。
確認の為に触れてみると軽く手首を触れるだけで痛がります。上腕も胸も同様です。
痛みを感じるところと圧痛のあるところは全く違うということがよくわかります。
確かに痛いところは多いのですが、手全体を触ると強くなったり弱くなったりしています。
特徴は、強くなったり弱くなったりする間隔が狭いということです。
あちこち痛いという人の特徴です。
表裏や経絡の蛇行、経絡の太さなどを観察しても、その間隔がかなり狭いのが特徴です。
バランスという観点からいくと、右側は同じところには反応はありません。
しかし、手の指先は右手の反応の方が強いのです。
本人は右手の指は酷くないと言っています。
こちらが異常を見つけ、それを元にして問診していくと、問題点がよく見えてきます。
基本的に異常反応がないところは痛みがあっても、痛みのある場所は問題ではありません。
問題ではなくても症状があるのは、他からの影響があるからです。
他からの影響によって起こった痛みと、局所のみの痛みとは本質的に全く違います。
異常部は相互につながっています。
左手が痛いと言っても左だけの問題ではありません。
症状は相対的です。
原因と結果には相互関係があるのに、一対一や一対多の関係のみだと解釈するから大きな間違いになるのです。
例えば、腰痛で椎間板狭窄症があれば、それだけが原因だと考えることです。
臨床は、基本的には多対多です。
複数の要素が絡み合っています。
あちこち痛いという症状の人を明確にしていこうと思うと部分をしっかり観察できなければわかりません。
部分と部分をつなぐ関係を見つけ出すことが必要になってきます。
なぜ、一対一の関係だけが正しいと考えるのか疑問です。
もちろん、一対一の関係の反応がない訳ではありませんが、極端に少ない。
一対一の関係の反応を見つけるには、もっともっと全体を俯瞰して見なければなりません。
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